改訂新版 世界大百科事典 「コノリー」の意味・わかりやすい解説
コノリー
James Connolly
生没年:1868-1916
アイルランドのマルクス主義的社会主義者。イースター蜂起の際,共和国独立宣言に署名した7名の指導者の一人として国民の尊敬を集めている。アイルランド移民の子としてエジンバラに生まれ,1896年にダブリンでアイルランド社会主義共和党(1903年にアイルランド社会党となる)を組織する。1903年から10年までアメリカ合衆国に滞在し,アイルランド社会主義同盟を組織。帰国後ベルファストでアイルランド運輸・一般労働組合の組織者となり,12年にはジェームズ・ラーキンとともに労働党を結成した。13年のダブリン大争議を指導し,資本側の攻撃から労働者を守るためにアイルランド市民軍を組織した。16年イースター月曜日には,この市民軍を率いてP.H.ピアスのアイルランド義勇軍とともに蜂起し,ダブリンの中央郵便局に本部をおいて蜂起軍を指揮した。約1週間の戦闘の後イギリス軍に降伏し,軍事裁判ののち銃殺刑に処された。《アイルランド労働史》(1910)などの著書がある。
執筆者:上野 格
コノリー
Cyril Vernon Connolly
生没年:1903-74
イギリスの批評家。オックスフォード大学出身。前衛的な文芸批評雑誌《ホライズン》(1939-50)を創刊編集。1940年代のイギリス文壇に,T.S.エリオット以後のもっとも清新な国際的な,汎ヨーロッパ的ないぶきを導き入れた。《サンデー・タイムズ》の常任書評者として活躍,奇矯とも思える繊細な感受性と地中海ラテン世界への愛着ある美意識によって《期待を裏切るもの》(1938),《呪われた運動場》(1945),《夕暮れの柱廊》(1973)などの批評集を世に送ったが,彼の資質をもっともよく示すものは,第2次大戦下〈パリヌルスPalinurus〉という筆名で綴った批評的独白録,断片による省察《不安の墓》(1945)であろう。
執筆者:出淵 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報