コバルト爆弾(読み)コバルトバクダン

デジタル大辞泉 「コバルト爆弾」の意味・読み・例文・類語

コバルト‐ばくだん【コバルト爆弾】

外側コバルトで覆い、核爆発によって生じるコバルト60放射能で殺傷力を高めようとする核爆弾

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精選版 日本国語大辞典 「コバルト爆弾」の意味・読み・例文・類語

コバルト‐ばくだん【コバルト爆弾】

  1. 〘 名詞 〙 原子爆弾水素爆弾の外側をコバルトで包んだ放射能爆弾。核爆発によってコバルト六〇ができ、長期にわたって強い放射能が残る。C爆弾。

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百科事典マイペディア 「コバルト爆弾」の意味・わかりやすい解説

コバルト爆弾【コバルトばくだん】

核兵器にコバルトを混在させると,爆発に際して多数発生する中性子がコバルト原子核に捕獲されて6(0/)Coとなる。6(0/)Coは半減期5.2年でβ崩壊して6(0/)Niになるが,同時に1.17,1.33MeVのγ線も放出する。このβ線,γ線の放射能で人畜被害を与えようとするのがコバルト爆弾で,水素爆弾にコバルト外被をつける案があるが,実際は製造されていないとみられる。→原子爆弾

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コバルト爆弾」の意味・わかりやすい解説

コバルト爆弾
こばるとばくだん

コバルトの放射性同位元素コバルト60(半減期5.2年)から出る放射線人員を殺傷しようとする放射能兵器。実際にはつくられていない。最初から強い放射性物質を爆弾などに詰めておくのはむずかしいので、小型の水素爆弾や中性子爆弾など、大量の中性子を発生する核兵器に非放射性のコバルトを混ぜ、爆発の際に生ずる誘導放射能としてコバルト60をつくることが考えられている。

服部 学]

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世界大百科事典(旧版)内のコバルト爆弾の言及

【核兵器】より

…中性子爆弾は核融合反応を用いた小型の水爆であり,特に中性子の放出を増大させる構造上の工夫がなされている(図2,図3,図4)。
[その他]
 水素爆弾の周囲をコバルトで包み爆発によってコバルト60 60Co(半減期約5.27年)を生成して残留放射能を増大させるコバルト爆弾や,同様に窒素化合物を用いて爆発によって炭素14 14C(半減期5600年)を生成させる窒素爆弾も考えられてはいるが,アイデアだけのものと思われる。原子番号95以上,すなわちプルトニウムより重い元素を核分裂物質として使用して,超小型の原爆を実現する超プルトニウム爆弾の可能性はあるとしても,それらの物質の生産費用の高価さと半減期の短さから実現はきわめて難しい。…

※「コバルト爆弾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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