コムアカデミー事件(読み)コムアカデミーじけん

改訂新版 世界大百科事典 「コムアカデミー事件」の意味・わかりやすい解説

コム・アカデミー事件 (コムアカデミーじけん)

1936年の講座派研究者に対する検挙事件。《日本資本主義発達史講座》の刊行(1932-33)にともない明治維新地主制の性格をめぐる日本資本主義論争は白熱化した。この論争を踏まえて日本社会の半封建的性格を究明しようとする立場から,同講座の編集者であった山田盛太郎平野義太郎,執筆者であった小林良正,相川春喜らが中心となって,1934年末から〈日本封建制講座〉刊行の企画が進められ,執筆準備のための共同研究も行われていた。36年6~7月,〈日本封建制講座〉関係者は治安維持法違反で一斉検挙された。これは,講座執筆グループが共産党の戦略・戦術の理論的検討を行うソビエトコムアカデミーに類する組織であるとの想定に基づいた検挙であり,同時に相川らの関係していた《時局新聞》や雑誌《文芸街》《ズドン》《現実》など文化団体関係者も逮捕された。この講座派研究者の検挙事件は,翌年平野や相川らの起訴留保処分と釈放で落着した。
人民戦線事件
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百科事典マイペディア 「コムアカデミー事件」の意味・わかりやすい解説

コム・アカデミー事件【コムアカデミーじけん】

1936年講座派系の学者に対する弾圧事件。《日本資本主義発達史講座》刊行後活躍中の山田盛太郎,平野義太郎,小林良正らは同講座に引続いて《日本封建制講座》の刊行を企画していたが,彼らがコム・アカデミー(共産主義アカデミー。1924年―1936年。在モスクワ。社会科学の最高研究機関)の役割を日本において意図したとされて検挙された事件。
→関連項目日本資本主義論争

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