1世紀のローマ帝政期に《農業論》全12巻を著した作家。生没年不詳。スペインの,おそらくガデス(現,カディス)の生れで,軍団副官として小アジアやシリアに赴き,のちにイタリアに定住した。若いころから伯父の影響を受けて農業に親しみ,イタリアでは各地に土地を所有していた。《農業論》の執筆にあたっては大カトー,ウァロ,ケルススらローマの先駆者はもとより,クセノフォンも参考にしたが,自己の経験に基づく独自の見解を随所に盛り込んでいる。主題は一般農耕,果樹栽培,牧畜,家畜,養魚,養蜂,造園,農場経営,酒造に及び,10巻の造園術だけはウェルギリウスの《農耕詩》にならって六脚律の詩形で書いた。記述方法,表現力ともに洗練度が高く,古代ローマの優れた専門書の一つに数えられる。コルメラは大カトー同様,農業を人間の誠実な営利活動として高く評価した。
執筆者:三浦 尤三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…次の時代のローマの農書は多く残っている。ウァロ,大カトー,コルメラ,とくにコルメラの農書は,その中でも最も完備したものである。これらは,いずれも二圃式農法を記述している。…
…ほかにウェレイウス・パテルクルスVelleius Paterculus,クルティウス・ルフスCurtius Rufus,フロルスなどの歴史家の名がみられる。またそのほかの散文作家には,小説《サテュリコン》の作者ペトロニウス,百科全書《博物誌》の著者の大プリニウス,《書簡集》を残した雄弁家の小プリニウス,農学書を残したコルメラ,2世紀に入って,《皇帝伝》と《名士伝》を著した伝記作家スエトニウス,哲学者で小説《黄金のろば(転身物語)》の作者アプレイウス,《アッティカ夜話》の著者ゲリウスなどがいる。 詩の分野ではセネカの悲劇のほかに,叙事詩ではルカヌスの《内乱(ファルサリア)》,シリウス・イタリクスの《プニカ》,ウァレリウス・フラックスの《アルゴナウティカ》,スタティウスの《テバイス》と《アキレイス》など,叙事詩以外ではマニリウスの教訓詩《天文譜》,ファエドルスの《寓話》,カルプルニウスCalpurniusの《牧歌》,マルティアリスの《エピグランマ》,それにペルシウスとユウェナリスそれぞれの《風刺詩》などがみられる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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