日本大百科全書(ニッポニカ) 「コークス炉」の意味・わかりやすい解説
コークス炉
こーくすろ
coke oven
空気を遮断して石炭を加熱し、コークスを製造する設備の総称。狭義には、現在広く使用されている水平室炉式コークス炉をさす。ガス、タール、軽油などが副産物として回収され、日本では1950年代まで都市ガス製造の主力であり、また化学工業の重要な原料供給源でもあった。現在は冶金(やきん)コークス製造が主目的で、高炉と並んで製鉄工場内に設置されていることが多い。数十の炭化室と、これを加熱するガス燃焼室が交互に水平に配列され、長さ20~50メートル、奥行15~20メートル、高さ10~20メートル程度の1炉団を形成する。炉団の大きさは高炉の容積によって決まり、たとえば、1日5000トンの銑鉄を生産する高炉に対応する炉団は、コークスの日産量として約3000トン程度が必要となる。
[宮津 隆]