企業買収に際して、買収対象会社の経営陣が解任されるような場合には、巨額の退職慰労金を支払わねばならないといった仕組みを定めておく買収防衛策の一種。買収が成功しても、被買収会社から大量の資金が流出することになるから、旧経営陣の解任をむずかしくし、ひいては敵対的な買収を仕掛ける側の意欲をそぐ効果があるとされる。
墜落する飛行機から、旧経営陣だけが黄金製のパラシュートで脱出するという比喩(ひゆ)から、このようによばれる。一方、経営者以外の従業員に対しても、解雇する際には高額な割増退職金を支払うように定めるケースがある。この場合は経営者への支払いに比べると1人当りの支給金額は少なくなるから、ティンパラシュートtin parachute(ブリキのパラシュート)とよばれる。ただ、従業員の退職金については株主総会の決議を要せず、取締役会の決議で決められるため、より機動的に適用できるうえ、従業員の人数は多いことから、「ブリキ」の呼称にもかかわらず、買収防衛策としては「黄金」以上に効果的な場合もある。
しかし、これらの防衛策が実施されると、一般株主の利益を毀損(きそん)する可能性が生じるなどの負の側面もあり、その是非については批判的な見方も多い。
[高橋 元]
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