日本大百科全書(ニッポニカ) 「サソリモドキ」の意味・わかりやすい解説
サソリモドキ
さそりもどき / 尾蠍
whipscorpion
節足動物門クモ形綱サソリモドキ目Thelyphonidaに属する動物の総称。世界に約75種を産し、最大種は北アメリカのマスチゴプロクツス・ギガンテウスMastigoproctus giganteusで、体長75ミリメートル。形態、生態ともサソリに似るのでこの名がある。前体はサソリ同様背甲板に覆われ、幅広く長方形。後体(胴部)は12節で長卵形。後端3節は急に細く環状となり、末端は長く鞭(むち)状となる。夜行性で日中は石の下などに潜み、歩行性の昆虫類などを強大な触肢(しょくし)で捕食する。鞭状の尾部を直立することがあるが、サソリのように刺傷はせず、肛門(こうもん)部の嗅腺(きゅうせん)から酢酸臭の強い分泌液を噴出する。日本には2種を産す。英名を直訳して別名ムチサソリともいう。
アマミサソリモドキTypopeltis stimpsoniは、九州南部、南西諸島に分布し、体長40ミリメートル内外。全体黒色、腹面は赤みを帯びる。タイワンサソリモドキT. cruciferは石垣島に産し、前種に似る。アマミサソリモドキの毒成分は酢酸78.3%、カプリル酸5.8%、水分15.9%である。
[服部畦作]