サトゥルヌス(読み)さとぅるぬす(英語表記)Sāturnus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトゥルヌス」の意味・わかりやすい解説

サトゥルヌス
さとぅるぬす
Sāturnus

ローマ神話で、農業の豊饒(ほうじょう)をつかさどる神。その名はエトルリア系と考えられており、ギリシア神話クロノスと同一視されるが、クロノスのもつ残虐性はこの神には薄い。詩人ウェルギリウスによれば、ゼウスオリンポス王座を追われたクロノスが、サトゥルヌスとしてイタリアに来住し、カピトリウムの丘に一市サトゥルニアを築いたとされる。そして田野(でんや)の女神オプス(またはルア)をめとり、その子ピクスがローマ王家の祖となった。またサトゥルヌスは、イタリアに農耕技術を導入して、文明化を進めたとされ、その治世はイタリアの黄金時代とみなされている。神殿はカピトリウムの丘にあり、12月にはクリスマスの一起源かと思われるサトゥルナリア祭が催された。

[丹下和彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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