改訂新版 世界大百科事典 「サボルド」の意味・わかりやすい解説
サボルド
Giovanni Gerolamo Savoldo
生没年:1485ころ-1548
イタリアの画家。16世紀前半のロンバルディア派最大の作家の一人。ブレシアに生まれ,同地のフレスコ画家V.フォッパの影響下に育ったと考えられる。1508年フィレンツェの薬種業組合にその名があるが,これ以外にはいっさい記録が残っていない。16世紀初頭ベネチアに数年学んだともされているが,ティツィアーノではなく,ジョルジョーネの形体と瞑想的画風とが残った。代表作はイタリア北部の各地にあるが,とくに《羊飼いの礼拝》《マタイと天使》《トビアと天使》は傑作である。彫塑的な人体,モニュメンタルな構成,夜景や灯火のデリケートなきらめきのもたらす精神性の深みにおいて,同地出身のカラバッジョの先駆者となった。
執筆者:若桑 みどり
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報