日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンソム」の意味・わかりやすい解説
サンソム(Sir George Bailey Sansom)
さんそむ
Sir George Bailey Sansom
(1883―1965)
イギリスの外交官、日本研究家。ロンドン生まれ。ドイツのギーセン、マールブルク両大学で学んだのち、1904年イギリス外務省に就職。1906年(明治39)からと、1920~1940年(大正9~昭和15)の約30年近い日本在勤中に日本研究の造詣(ぞうけい)を深め、『日本文化史』(1931)などの著書で、日本研究者としての地位を確立した。第二次世界大戦後、極東委員会のイギリス代表として来日。その後アメリカへ渡ってコロンビア大学、スタンフォード大学の教授を務め、『西欧世界と日本』(1950)その他、外交官出身らしい国際的視野からみた日本の歴史と文化を考察した著作を発表した。1965年3月8日、療養先のアリゾナ州で死去。
[岡 利郎]
『福井利吉郎訳『日本文化史』(1952・創元社)』▽『金井圓他訳『西欧世界と日本』上・中・下(ちくま学芸文庫)』
サンソム(William Sansom)
さんそむ
William Sansom
(1912―1976)
イギリスの短編作家、小説家、旅行作家。ロンドン生まれ。名門パブリック・スクールのアッピンガム校に学び、ボンでドイツ語を学ぶ。ヨーロッパ各地を旅行した後、銀行、広告会社で働き、第二次世界大戦中はロンドンで消防士となる。その間雑誌に短編小説を投稿していたが、ドイツ軍の電撃戦に触発されて作家生活に入り、『ホライズン』『ペンギン・ニュー・ライティング』誌などを中心に創作活動を展開した。作風はイギリスの伝統的な小説の流れに属し、社会風俗を描きながら、そのなかに生きる人間のふとした感情の機微を鮮やかに浮かび上がらせるのを特徴とする。服装など物の細部について的確な描写を重ねるうちに、場の雰囲気を醸成し、人物の心理に焦点を絞ってゆく手法と、それを支える緊密な構成を身上とし、そのゆえに現代イギリス短編小説の大家と目される。『消防士の華』(1944)、『たいへんなこと、すてきなこと』(1948)、『マーマレード・バード』(1973)など多数の短編集のほか、『肉体』(1949)、『無邪気な顔』(1951)、『グッドバイ』(1966)などの小説、ノンフィクション『コルシカ、イタリー、南仏瞥見(べっけん)』(1948)などがある。
[佐野 晃]
『福田陸太郎訳『検札官』(1995・英宝社)』