日本大百科全書(ニッポニカ) 「サントリオ」の意味・わかりやすい解説
サントリオ
さんとりお
Santorio Santorio
(1561―1636)
イタリアの医師、哲学者。トリエステ近くのイストリア島の生まれ。父は砲兵下士官。14歳でパドバ大学に入学し、7年間、医学と自然哲学を学んだのち、パドバ王マクシミリアンの求めに応じ、開業した。1611年から1624年までパドバ大学の医学教授を務めたのち、ベネチアの開業医の顧問となった。彼は近代の物質代謝学の創始者として、皮膚呼吸や肺呼吸による不感蒸散による体重減少を計測した。また二つの有益な器具、すなわち温度計と時計を臨床医学に導入したことで知られている。サントリオは当時、第一級の科学者ガリレイとの交際があり、彼を通じてこの二つの器具のことを学んだと考えられている。そのほか膀胱(ぼうこう)結石をとる套管(とうかん)針やジフテリア患者用の気管カニューレをデザインした。著書に『警句』Aphorisms(1614)がある。
[中山 沃]