シェルヘン

百科事典マイペディア 「シェルヘン」の意味・わかりやすい解説

シェルヘン

20世紀音楽の普及と発展に尽くしたドイツの指揮者。ベルリンに生まれ,ほぼ独学で音楽を学ぶ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ほかでビオラ奏者を務めたのち,1911年−1912年のシェーンベルクとの演奏旅行をきっかけに指揮者デビュー。リガ交響楽団指揮者を経て1919年ベルリンで〈新音楽協会〉を設立。1920年には雑誌《メロス》を創刊・編集し,作曲界の後ろ盾となった。弦楽四重奏団を結成して同時代作品の紹介にあたる一方,1923年ISCM国際現代音楽祭の開幕と同時に首席指揮者に就任。以後もナチス政権成立によるスイス移住をはさみ,ドイツ,スイス,ベルギー各地で活躍。第2次大戦後も前衛音楽の拠点ダルムシュタットで指揮法を講じ,スイスに電子音楽スタジオを開設するなど,現代音楽のリーダー格として若い世代に大きな影響を及ぼし続けた。ベルクの《室内協奏曲》と《バイオリン協奏曲》,ダラピッコラの《とらわれ人》など初演曲も数多く,ベートーベンマーラーにも名演を残している。→マルケビチ
→関連項目クセナキスクルシェネクノーノハルトマン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェルヘン」の意味・わかりやすい解説

シェルヘン
しぇるへん
Hermann Scherchen
(1891―1966)

ドイツの指揮者。ベルリン生まれ。音楽を独習、ベルリン・フィルハーモニーのビオラ奏者を短期間務めたのち、1914年リガ交響楽団指揮者となる。シェーンベルクと親しく、現代音楽を積極的に紹介するため、新音楽協会、雑誌『メロス』、シェルヘン弦楽四重奏団を創立、活発な活動で注目された。33年スイスに移住、チューリヒ本拠に現代音楽推進の運動を生涯続けた。バロックから現代音楽まで広いレパートリーをもち、劇的効果を重んずる解釈一家をなした。著書『指揮法』は名著誉れが高い。

[岩井宏之]

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