クルシェネク(読み)くるしぇねく(英語表記)Ernst Křenek

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クルシェネク」の意味・わかりやすい解説

クルシェネク
くるしぇねく
Ernst Křenek
(1900―1991)

オーストリア生まれのアメリカの作曲家。生地ウィーンとベルリンで作曲を学ぶ。最初期にはロマン主義的影響を示したが、しだいに無調性に転じ、不協和な響きに富む交響曲第2番(作品7、1922)などを書く。1924年パリを訪れ、新古典主義音楽の影響を受け、27年ライプツィヒ初演のジャズ・オペラ『ジョニーは演奏する』が出世作となった。28年ウィーンに戻り、ベルクやウェーベルンらの新ウィーン楽派に共鳴して十二音技法に転じ、のちさらに電子音楽を手がけるなど、第一次世界大戦後の現代的手法を広く示すが、個人的様式の変化にとどまり、他への影響は少ないうらみがある。37年アメリカに移住、映画音楽を書いたり各地の大学で教え、45年に市民権を得た。

[細川周平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例