ノーノ(読み)のーの(英語表記)Luigi Nono

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノーノ」の意味・わかりやすい解説

ノーノ
のーの
Luigi Nono
(1924―1990)

第二次世界大戦後のイタリアを代表する作曲家。ベネチア生まれ。とくに共産党の政治思想と現代音楽の接点にたったことで有名である。パドバ大学で法律を学ぶかたわらベネチア音楽院でマリピエロ師事、のちにマデルナシェルヘンにつく。1950年ドイツのダルムシュタットで『シェーンベルクの作品41のセリーによる変奏曲』が初演されて以来、戦後前衛音楽の代表的作曲家として知られるようになった。同世代のブーレーズと同じくポスト・ウェーベルン的セリー技法を用いた作品が多いが、歌詞の処理にイタリアの叙情が感じられる。代表作に、独唱合唱管弦楽のための『中断された歌』(1955~56)、オペラ『イントレランツァ』(1960~61)、ソプラノとピアノと管弦楽のための『力と光の波のように』(1971)、弦楽四重奏曲『断章‐静寂、ディオティマヘ』(1979)、ギリシア神話のプロメテウスの物語をモチーフにした『プロメテオ』(1983)、ロシアの映画監督タルコフスキーに捧げられた『進むべき道はない、だが進まなくてはならない』(1987)、ギターと合奏のための『ステファンのための墓石』(1989)などがある。

[細川周平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノーノ」の意味・わかりやすい解説

ノーノ
Nono, Luigi

[生]1924.1.29. ベネチア
[没]1990.5.8. ベネチア
イタリアの作曲家。 1941年からベネチア音楽院の聴講生となり,G.マリピエーロ,B.マデルナに師事。一方,パドバ大学で法律を学んだ。夫人シェーンベルクの娘。 50年ダルムシュタットの「国際夏季音楽祭」で『シェーンベルク op.41のセリーによる変奏』を初演。主要作品は7楽器の『ポリフォニカ・モノディア・リトミカ』 (1951) ,独唱,合唱,管弦楽の『イル・カント・ソスペーソ』 (56) ,オペラ『イントレランツァ』 (60) ,カンタータヒロシマの橋の上で』 (62) など。共産党員であり,政治的な主題を扱った作品も多い。

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