シザンサス(その他表記)butterfly flower
Schizanthus pinnatus Ruiz et Pav.

デジタル大辞泉 「シザンサス」の意味・読み・例文・類語

シザンサス(〈ラテン〉Schizanthus)

ナス科一年草。高さ30~60センチ。花は紅・桃・白色で、黄色や白色の斑紋はんもんが入る。主に鉢植えにして観賞される。

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改訂新版 世界大百科事典 「シザンサス」の意味・わかりやすい解説

シザンサス
butterfly flower
Schizanthus pinnatus Ruiz et Pav.

春4~5月にチョウに似た形の花をつけて美しいナス科の一年草。コチョウソウ(胡蝶草)ともいう。原産地はチリのアンデス山系。草丈30~80cm,茎は直立するが,多数の枝を分けて開花する。葉は羽状に1~2回深く裂け,茎とともに腺毛がある。花序は円錐形で総状に花をつける。花は径2~3cm,上,中,下に3深裂して,花色は紫,紫紅,ピンク,白,紅などであるが,上唇弁は淡色,中裂片には黄色の虎斑(とらふ)模様や紫色斑点があって美しい。下唇弁は紫藤色。学名Schizo〈裂ける〉,anthos〈花〉の意で,花弁が複雑に切れているという意味である。シザンサスの仲間はアンデス山系に10種ほどあり,美しい花を咲かせる。雑種Swisetonensis Low(=S.pinnatus×S.grahamii)も前種と同様に栽植される。播種(はしゆ)は9月下旬~10月上旬。平鉢にまいた後,本葉4~5枚のとき1本1本を植えひろげ,小苗を小鉢に育てる。その後根回りをみて,逐次鉢を替える。高性種,矮性(わいせい)種の別があり,形をととのえるには芯つみを行う。用土は赤玉土2,腐葉土1,寒冷地では春まきとして初夏に開花させる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シザンサス」の意味・わかりやすい解説

シザンサス
しざんさす
[学] Schizanthus pinnatus Ruiz et Pav.

ナス科(APG分類:ナス科)の半耐冬性一年草。チリ原産で、コチョウソウ、ムレコチョウともいう。葉は切れ込みがあり、3~5月、径2~3センチメートルの花を多数開く。花色は赤、桃、藤、紫、白色などの複色で、花壇や鉢物に用いられ、近年は大鉢仕立てのものもみられる。8月に播種(はしゅ)し、一度移植したのち小鉢に植え、摘心を一、二度行って地際から多数分枝するよう育てる。冬季はビニルハウス内で栽培するが、日中温度を上げすぎないようにし、10℃前後を目標とする。用土は腐葉土を30%くらい配合した排水のよいものを用いる。鉢植えは5号鉢なら1本植えでよく、花壇に植え出す場合は霜のおそれがなくなってからにする。

[鶴島久男 2021年6月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シザンサス」の意味・わかりやすい解説

シザンサス
Schizanthus; butterfly flower; poor-man's orchid

和名ムレゴチョウ (群胡蝶) 。ナス科の一年草で,チリに 10~15種分布する。茎はよく分枝し,羽状葉が互生する。直径2~4cmの細かな花は,茎の上部をおおうように多数咲く。和名のムレゴチョウや英名のバタフライフラワーが示すように,花の形は小さなチョウのようにもみえる。冬から春にかけて鉢植えとして流通する種間交雑種のシザンサス・ワイズトネンシス S.×wisetonensisは,花色が赤色,桃色,紫紅色,薄紫色,黄色,白色など多彩で,花冠の基部に斑紋 (はんもん) が入る。生育適温は8~12℃。長持ちさせるためにはあまり高温にしない室内で管理する。

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