日本大百科全書(ニッポニカ) 「システム産業」の意味・わかりやすい解説
システム産業
しすてむさんぎょう
systems industry
高度化・多様化する社会的要求の充足を図るため、既存の産業の枠を越えた企業・業種間の有機的結合による複合的な産業概念であり、機能集積産業ともいう。エンジニアリング、情報・通信、都市開発、海洋開発、原子力、生化学、航空宇宙、医療、教育およびレジャー産業などがあげられる。こうしたシステム産業の多くは、高度な先進技術が集約され、他産業への波及効果も大きいところから、とくに先端産業とよばれる場合がある。このようにシステム産業は、社会開発や戦略的な先進技術開発などのほか、知識集約産業までを含み、生活や産業活動の基盤となる環境整備、さらには国土の開発・利用といった国家的なプロジェクトとのかかわりも深い。また、多数の企業の集合体であるため、しっかりしたプロジェクトの策定と、全体をシステムとして組織し、管理・運営していくオルガナイザー機能が必要となる。都市開発産業を例にとれば、具体的な開発計画と中核となる公的機関なり企業の下で、都市の情報、交通、物流、建築、廃棄物処理、地域冷暖房、給排水などのサブシステムを通じて、それぞれ専門技術、ノウハウをもつ企業が有機的に結び付くことになる。
[三浦正史]