レジャー産業(読み)れじゃーさんぎょう(英語表記)leisure industry

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レジャー産業」の意味・わかりやすい解説

レジャー産業
れじゃーさんぎょう
leisure industry

人々のレジャー活動に対して、それに必要な用具の製造・販売、施設・用具の提供、レジャー活動の指導を行う産業の総称

レジャー産業の分類

レジャー活動の能動性・積極性を基準に三つに大別される。(1)仕事などのストレスからの一時的な解放を目的とするリリース(発散、解放)型レジャー(外食、テレビ、音楽、興業などの鑑賞ギャンブルなど勝負事を含む)、(2)非日常的行為を通じて明日への活力を生み出すレクリエーション型レジャー(スポーツ、観光など)、(3)自己実現を意識した自己啓発型レジャー(音楽・美術などの創作活動、和・洋裁、茶・華道など「稽古(けいこ)事」、読書や各種講習会での学習など)に区分される。国内のレジャー市場(余暇市場)は、2000年(平成12)現在85兆0570億円(前年比0.6%減)である(『レジャー白書2001』)。1996年をピークにマイナス成長を続けているが、減少幅は除々に縮少している。

[殿村晋一]

レジャー産業の発展

わが国のレジャー産業は、1950年代なかばの高度成長とともに急成長した。パチンコ酒場、野球観戦など盛り場でのリリース型レジャーが中心で、市場規模もGNPの10%前後から年々その比重を高めてきた。1964年の東京オリンピック大会、70年の大阪万国博などは、新幹線、高速道路など社会資本を充実させ、モータリゼーションを加速化し、旅行、スポーツなどレジャー活動の屋外化、高額化を促し、レジャー産業の大型化を促進した。この時期、企業社会では飲食、勝負事、スポーツを接待に利用する慣行(いわゆる「社用族」)が定着し、社員旅行を含む仕事と結び付いた「半レジャー」が、レジャー産業を支えた面も無視できない。

 経済の安定成長への移行後も、レジャーに対する支出は増大傾向をたどり、1980年代に入ると、レジャー活動は個性化し、多様化した。円高を背景に海外旅行がブームとなり、ホビーや学習、さらにはマニアの出現(個性派レジャー)が新市場(クラフト模型など)を拡大させた。茶・華道、ピアノ、囲碁など「求道性」の強いレジャーが、DIY(do it yourself)や園芸など日常的レジャー(手作り文化)と並んで息の長い人気を確保している反面、ジョギングエアロビクスなど健康スポーツに高齢層を中心とするゲートボールなどが仲間入りしている。

[殿村晋一]

レジャー産業の特徴

時間帯や曜日、季節による繁閑差や流行のライフ・サイクルの短さなどから経営リスクが大きいため、中小企業が多く、需要立地型労働集約的色合いが強く、パート、アルバイトなど臨時雇用者が多い。大資本も「大型レジャー館」とかディズニーランド型の「大型テーマパーク」に進出しているが、多角経営による危険分散によって経営安定を図っているものも多い。

[殿村晋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レジャー産業」の意味・わかりやすい解説

レジャー産業
レジャーさんぎょう

余暇産業」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報