日本大百科全書(ニッポニカ) 「シデコブシ」の意味・わかりやすい解説
シデコブシ
しでこぶし / 四手拳
[学] Magnolia stellata (Sieb. et Zucc.) Maxim.
Magnolia tomentosa Thunb.
モクレン科(APG分類:モクレン科)の落葉低木ないし小高木。愛らしい花が好まれ、世界中で花木として賞用される。コブシに近縁で、葉の形、質や小さな萼片(がくへん)があることでは同じであるが、全体に小ぶりで庭木向きである。花弁が12~30枚と多いのが特徴的。花の色や樹形に変異が多く、いろいろな型にヒメコブシほかの名前がつけられているが、分類学的には区別できない。中部地方のごく限られた地域に自生するが、宅地開発や花木用の盗掘で減少している。コブシを台木にした接木(つぎき)や、実生(みしょう)から容易に殖やすことができる。名は、細長くジグザグに開く花弁を神事に使う四手(しで)に見立てたからという。
[植田邦彦 2018年8月21日]