シャフラスターニー(読み)しゃふらすたーにー(その他表記)al-Shahrastānī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャフラスターニー」の意味・わかりやすい解説

シャフラスターニー
しゃふらすたーにー
al-Shahrastānī
(1076―1153)

イスラムアシュアリー派神学者イランホラサーンに生まれ、アブー・カーシム・アンサーリー(?―1118)から神学を学んだ。イスラム世界を広く旅し、3年間バグダードのニザーミーヤ学院で教え、当代随一の学者との名声を得た。代表作の『諸宗派と諸分派の書』は、イスラム教内部の諸派の歴史をはじめ、キリスト教やインド・古代ギリシアの哲学の諸流派などの記述を含んでいる。同書は、今日では散逸して現存しない資料を多数引用しており、比較宗教学、イスラム宗教史の貴重な文献とされている。

[竹下政孝 2018年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シャフラスターニー」の意味・わかりやすい解説

シャフラスターニー
al-Shaḥrastānī
生没年:1076-1153

ホラーサーンのシャフラスターン生れのアシュアリー派神学者。主著《諸分派と諸宗派の書Kitāb al-milal wal-niḥal》はアシュアリー派の立場に立ってシーア派ハワーリジュ派ムータジラ派などイスラムの諸宗派・学派の主張の違いを述べたもので,アシュアリー,イブン・ハズム,バグダーディーなどの同様の書と同じく,分派学的著作に属する。その中にあって本書は,透徹した冷静な叙述と,イスラム以外の世界の諸宗教についても記述している点できわめてユニークである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャフラスターニー」の意味・わかりやすい解説

シャフラスターニー
al-Shahrastānī, Muḥammad ibn `Abd al-Karīm

[生]1076. ホラーサーン
[没]1153
セルジューク朝時代のイスラム宗教史家,神学者。イランのホラーサーンとフワーリズム地方で学究生活をおくり,哲学や宗教のあらゆる学説教理を分類した有名な『教義と宗派の書』 Kitāb al-milal wa al-nihalを著わした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android