ムータジラ派(読み)ムータジラは(英語表記)al-Mu`tazilah

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムータジラ派」の意味・わかりやすい解説

ムータジラ派
ムータジラは
al-Mu`tazilah

イスラムの神学派の名称。始祖はワーシル・イブン・アター (748没) 。ムータジラという名称は,対立するハワーリジ派とムルジア派に対して中立の立場をとったことから,身をひく,離れ去るを意味するアラビア語i`tazalaからつけられたといわれる。「神」だけが「唯一絶対」であり,コーランも「神」による被造物にすぎないとしたため,コーランを絶対視する正統派の学説とは真向から対立した。9世紀に入ってギリシア哲学の論理を導入して合理的思弁神学として発展,アッバース朝の第7代カリフのマームーンによって公認され,833年審問機関ミフナが設立されて反対派の裁判官は公職から追放された。 848年第 10代カリフのムタワッキルによってミフナは廃止され,ムータジラ派公認は取消されたが,勢力は依然盛んであった。 10世紀に入り,アシュアリー (873~935) らによって正統派神学にもギリシア思弁哲学の論理が取入れられると,ムータジラ派は急速に衰えた。

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