日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロンスク」の意味・わかりやすい解説
シロンスク
しろんすく
Śląsk
ポーランド南西部、オドラ(オーデル)川中・上流に広がる地方名。大部分はポーランドに属するが、一部はチェコ領で、チェコ語名をスレスコSlezskoという。英語名をシレジアSilesia、ドイツ語名をシュレージエンSchlesienといい、第一次世界大戦まではドイツ領であった。ドイツ文化の影響下に発展したようすは、都市の建造物などにもうかがわれる。南はスデティ山脈とベスキド山脈を境界とし、東はクラクフ・チェンストホバ高地によってガリツィア地方に接する。ブロツワフ(ブレスラウ)を中心とする下シロンスクは、肥沃(ひよく)なオドラ川中流域の平野とスデティ山脈の北斜面からなり、ジャガイモ、小麦、大麦、ビート(サトウダイコン)などを産し、畜産も盛んである。カトビーツェを核とする上シロンスク工業地帯は、19世紀末以来、炭田開発が急速に進み、鉄鉱石、亜鉛などの豊富な資源を基礎に重要な工業地域に成長した。第二次大戦後、上シロンスクの工業都市アグロメレーション(集積地域)は、つねにポーランド経済にもっとも重要な役割を果たしている。
[山本 茂]