スイス西部、レマン湖上の古城。湖の東端に近く、岸からわずかに離れた岩島の上にある。古代ローマ時代からアルプスの南北を結んでいた重要な街道が、ここで山裾(やますそ)と湖の間の狭い所を通っており、この街道を抑えるために築かれた城である。城の起源は9世紀ごろだが、12世紀からサボイア家の居城となり、現在のような姿になったのは14世紀初頭に増築されてからであり、アルプスを背景に湖に影を映す姿が美しい。1536年にベルン軍に攻略された。ベルン軍に救出されるまでの6年間、石牢(いしろう)に鉄鎖でつながれていた僧院長ボニバールを題材にしたバイロンの長詩『シヨンの虜囚』がこの城をいっそう有名にした。
[紅山雪夫]
…スイス西部,レマン湖東岸に位置する保養地。人口2万(1990)。1761年ルソーがレマン湖一帯を背景に書いた小説《新エロイーズ》を発表すると注目をひき,気候温暖な景勝とあいまって,とくに1880年代以降には有名な保養地となった。バイロンの詩《シヨンの囚人》で知られるレマン湖畔のシヨンChillon城,レマン湖の眺望をほしいままにするコーCauxの町への観光拠点でもある。【森田 安一】…
※「シヨン城」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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