シラ島(読み)シラとう(英語表記)Nísos Thíra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シラ島」の意味・わかりやすい解説

シラ島
シラとう
Nísos Thíra

古代ギリシア語読みではテラ Thēra。ギリシア,エーゲ海南部,キクラデス諸島南端の島。西に湾をいだく三日月形の島で,地質的には噴火した火山の東半分だけが残ったものと考えられ,西半をなすように西にシラシア島,アスプロニシ島があり,湾内には活火山島がある。これらを総称してサンドリニ Sandoríniというが,シラ島がこの名で呼ばれることもある。おもに溶岩軽石から成り,湾側の斜面は高さ約 300mの急崖をなすが,東側斜面はゆるやかで,ブドウが栽培される。急崖上に中心集落シラ (旧称フィラ Firá) がある。前 2000年以前より人が住み,前9世紀にはスパルタドーリス人植民。前 630年頃アフリカ北岸に植民市キュレネを建設。前 308~145年プトレマイオス朝領。 1207~1537年ベネチア領。その後 1821年までオスマン帝国領。 19世紀なかば以降発掘が行われ,多数遺跡が出土しているが,特に 1966年に始った発掘ではクレタ文明に属するおびただしい数の陶器フレスコ画断片が出土し,青銅器時代クレタ島との間に密接な関連があったことが明らかになり,また前 1500年頃この島が噴火して起った津波がクレタ島を襲い,クレタ文明の突然の消滅をもたらしたとする学説にもある程度の根拠を与えた。現在,軽石を輸出し,赤ワインを特産するほか,観光業が盛んである。面積 76km2人口 7083 (1981) 。

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