シーリング材(読み)しーりんぐざい(英語表記)sealing

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーリング材」の意味・わかりやすい解説

シーリング材
しーりんぐざい
sealing

建物には各種の継ぎ目やひび割れなどがあって、その部分から水が漏れたり、湿気が入ったりする。そういう欠陥が生じないよう、水密・気密性能を保持させるために充填(じゅうてん)する材料で、不定形パテ液状のもの)と定形(棒状、紐(ひも)状)のものがある。パテ状で原料が油性のものをコーキング材calking, caulkingとよぶ。

 シーリング材の成分は、主成分、硬化剤、可塑剤、充填材、着色材などで、主成分によって種類分けされている。

 不定形シーリング材の主成分は、あまに油、シリコーン、ポリサルファイド、ポリウレタンブチルゴム、アクリル、SBRであり、定形のものは、クロロプレン塩化ビニル、ブチルゴム、ゴムアスファルトである。硬化剤、可塑剤には主成分の樹脂に適合するものを、充填材には炭酸カルシウムタルクなどを、着色材には酸化チタンと無機顔料を用いている。

 シーリング材のおもな用途は、鉄筋コンクリート造の打継ぎ部分やサッシ回り、金属パネル(アルミなど)回り、ガラス回り、石・タイル目地、ALC板や石綿スレート板の継ぎ目、金属笠木(かさぎ)の取付け部分などであり、モルタルコンクリートのひび割れの補修にも適している。このような用途から考えて、シーリング剤に求められる性能は、不浸透の材料で、充填された目地やひび割れの動きに従って変形でき、さらにそのような動きの繰り返しに耐えることが必要である。さらに充填された面と接着あるいは接触し続けること、自重で垂れ下がりがおこらないことが求められている。

 シーリング材を用いる場合の留意点は、シーリング材が充填される側の材質、その形状と予想される動き、外的環境(気象など)に対する考慮である。さらに工事にあたっては、温度、湿度、降雨に対する配慮が重要である。また、シーリング材は、コンクリートやタイルなどより寿命が短いので、適当な間隔で補修することが必要である。

[岸谷孝一]

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