日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジアジン」の意味・わかりやすい解説
ジアジン
じあじん
diazine
複素環式化合物の一つ。ジアザベンゼンともいう。ベンゼンの2個の炭素原子を窒素原子に置換した化合物。その位置により3種の異性体がある。
(1)1,2-ジアジン(ピリダジン) ピリジンに似た臭(にお)いをもった液体。マレインジアルデヒドとヒドラジンを縮合させて合成する。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルに溶けやすい。
(2)1,3-ジアジン(ピリミジン) 強い刺激臭をもつ。塩素置換体を還元することにより得られる。水、エタノール、エーテルによく溶ける。誘導体はピリミジン塩基と総称され、核酸の成分として重要な働きをしている(シトシン、ウラシル、チミンなど)。
(3)1,4-ジアジン(ピラジン) 強いピリジンに似た臭いをもった固体。ナトリウムとエタノールで還元すると、ピペラジン(ヘキサヒドロピラジン)になる。冷時で過マンガン酸カリウム溶液を脱色する。
[務台 潔]