ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャファリ」の意味・わかりやすい解説
ジャファリ
Ja`farī, Ibrāhīm al-
イラクの政治家。首相(在任 2005~06)。Ibrahim al-Jaafariとも書く。本名 Ibrāhīm al-Ashayqir。青年時代から熱心な読書家で詩人としても知られ,保守的な宗教観の唱道者でもあった。1960年代半ば,反体制運動を先導していたイスラム教シーア派政党,ダアワ党に参加。高校卒業後,モースルの大学で医学を学び,1974年に学位を取得。この間,各大学でダアワ党員を獲得する責任者となった。大学卒業後カルバラーに戻り医師となるが,活発な党活動にも携わった。1970年代末,ダアワ党はシーア派最大の反政府勢力として,サダム・フセイン政権を脅かす存在となったため,フセインの容赦ない弾圧の対象となった。ジャファリはイランに亡命し,イラクに残した家族への報復を恐れて名前を変え,1989年にはイギリスのロンドンに移って反フセイン活動を続けた。2003年,イラク戦争でフセイン政権が崩壊したことに伴い帰国,その後イラクの暫定統治機関として発足した統治評議会メンバーに任命された。2004年,イヤド・アラウィ首相率いる暫定政府の副大統領に就任。2005年1月,国民議会選挙でダアワ党を中核とする統一会派のイラク統一同盟 UIAが第一党となり,5月,移行政府の首相に就任した。同 2005年12月の選挙でも UIAが勝利し,正式政府の首相に推薦されたが,ジャファリを分裂主義者とみなすスンニー派とクルド人の政党が反対したため,ヌーリ・マリキが首相に指名された。
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