1947年に公布された法律。憲法は最高裁判所のあらましとその下位に下級裁判所を設置することだけを定めているが,これをうけて裁判所法が各種裁判所の組織,権限などについてくわしい基本法的規定を明示している。日本に権力分立の政体が確立して以来,裁判所について定める法制は1872年(明治5)の司法職務定制,75年の大審院諸裁判所職制章程,86年の裁判所官制,90年の裁判所構成法,そして現行の裁判所法と変遷してきた。裁判所法とその前の裁判所構成法とは,憲法秩序の改革にともなう司法権の質的変化に対応したさまざまな差異を示しているが,とりわけ大きなちがいは,現在では検察庁法が別に制定されて検察組織がもはや裁判所法の規律対象にされていないことである。
現行裁判所法は,最高裁判所,高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所,簡易裁判所の組織・権限につき定めるほか,裁判官およびそれ以外の裁判所職員,司法修習生に関する事項,さらに法廷の設営,裁判の評議など裁判事務に関する事項についても基本的な規定を設けている。
裁判所法の規定事項に関連のある法令として,別に〈下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律〉(1947公布),裁判所職員臨時措置法(1951公布),裁判官弾劾法(1947公布),裁判官分限法(1947公布),〈判事補の職権の特例等に関する法律〉(1948公布),執行官法(1966公布),〈法廷等の秩序維持に関する法律〉(1952公布),下級裁判所事務処理規則(1948公布)など多数のものがある。
執筆者:住吉 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本国憲法に定める最高裁判所および下級裁判所について定めた法律。昭和22年法律第59号。裁判所に関する基本的な法律で、最高裁判所の構成、裁判権、大法廷・小法廷、司法行政事務、付属研修所、高等裁判所の構成、裁判権、合議制、司法行政事務、地方裁判所の構成、裁判権、一人制・合議制、判事補の職権の制限、司法行政事務、家庭裁判所の構成、裁判権、一人制・合議制、判事補の職権の制限、司法行政事務、簡易裁判所の構成、裁判権、一人制、司法行政事務、そのほか裁判所の職員および司法修習生、裁判事務の取扱いなどについて規定している。旧裁判所構成法とは異なって、裁判所から検察庁を分離し、検察庁は検察庁法によってこれを設置することになった。
[内田一郎]
…憲法は最高裁についてはその構成の基本事項を直接に規定して(憲法改正をしないかぎり変えられないものにして)いるが,下級裁判所についてはその設置等を法律にまかせている(憲法76条)。現在は裁判所法(1947公布)が,最高裁に関して細則的規定を掲げるほか,上述の4種の下級裁判所の設置と権限分配などを定めている。これは国会による法律改正のみで変えることができるが,たとえば軍法会議のごとく,通常裁判所の系列外に設けられて特定の身分や特定の事件のみを裁判する特別裁判所の設置は憲法で禁じられている。…
※「裁判所法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新