ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファラズダク」の意味・わかりやすい解説
ファラズダク
al-Farazdaq
[没]728/730. バスラ
イスラム初期のアラブ詩人。本名 Tammām ibn Ghālib。ファラズダクは「こねた粉のかたまり」を意味し,その容貌から出たあだ名。タミーム部族の生れで,バスラに住んでいたが,その風刺詩が時のバスラ総督の怒りを買い,一時メディナに逃れた。のちにウマイヤ朝のカリフ,ワリード1世 (在位 705~715) や同じくスライマーン (在位 715~717) に重んじられ,多くの頌詩を献じた。アフタルやジャリールとともにウマイヤ朝時代を代表する三大詩人の一人。豊富な語彙を駆使し,その詩句のうちには諺として世に行われたものも多い。9世紀になって彼の「ディーワーン」 (個人詩集) が編まれた。
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