ファラズダク(読み)ふぁらずだく(英語表記)al-Farazdaq

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファラズダク」の意味・わかりやすい解説

ファラズダク
al-Farazdaq

[生]641頃.東アラビア,ヤマーマ
[没]728/730. バスラ
イスラム初期のアラブ詩人。本名 Tammām ibn Ghālib。ファラズダクは「こねた粉のかたまり」を意味し,その容貌から出たあだ名。タミーム部族の生れで,バスラに住んでいたが,その風刺詩が時のバスラ総督の怒りを買い,一時メディナに逃れた。のちにウマイヤ朝のカリフ,ワリード1世 (在位 705~715) や同じくスライマーン (在位 715~717) に重んじられ,多くの頌詩を献じた。アフタルジャリールとともにウマイヤ朝時代を代表する三大詩人の一人。豊富な語彙を駆使し,その詩句のうちには諺として世に行われたものも多い。9世紀になって彼の「ディーワーン」 (個人詩集) が編まれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファラズダク」の意味・わかりやすい解説

ファラズダク
ふぁらずだく
al-Farazdaq
(641ころ―733ころ)

アラブの詩人。イラクのバスラに生まれ、他人を風刺・非難する詩を多くつくったため幾度となく追放され、不仲のうちに離婚せざるをえなくなったことを後悔して有名な詩をつくっているが、ここから「ファラズダクの後悔」という格言が生まれた。同時代のジャリールとは、生涯を通じて詩作による闘いを展開し、アフタルを加えてウマイヤ朝三大詩人に数えられる。

[内記良一]

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