ラオス中央部の平原。ベトナム国境のアンナン山脈から延びる標高1000m前後の石灰岩質の高原で,ラオスの屋根の一つを形成する。行政的にはシエンクアン省を中心とした地域で,チャンニン高原またはシエンクアン高原ともいう。中心のシエンクアン市(人口約1万)はヨーロッパ風の小都市である。巨大な石甕(ジャール)が多数発見されたことにちなんで命名されたもので,これら新石器時代の大小の石甕は,葬礼に関した骨壺といわれ,人間が10人ほど入る大石甕もある。鉄製品や種々の石器,青銅器なども出土している。狩猟地としても知られ,ミヤオ族など多くの山岳少数民族が住む。この地域はかつてベトナムとタイの争奪地となったように政治・戦略上の要衝で,ベトナムのビンからルアンプラバン,ビエンチャンへ通じる幹線道路が通じている。内戦時代にもこの平原をめぐり,左右両派の攻防戦が繰り返された。
執筆者:石沢 良昭
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