日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョリー」の意味・わかりやすい解説
ジョリー
じょりー
John Joly
(1857―1933)
アイルランドの地質鉱物学者。オファリー州に生まれる。ダブリン大学のトリニティ・カレッジで学び、1897年、同大学教授となった。鉱物の融点、比熱の精密測定法、天然色写真撮影法の開発を行う。のちに放射能による熱の蓄積と地殻変動についての学説で著名となる。これは、放射能熱を地殻変動の根本原因とした初めての学説である。地殻下部で放射能による熱が蓄積し、下部層の密度の減少、体積膨張による地球半径の増大、アイソスタシーによる大陸の地殻の沈下がまずおこり、次に熱は大洋底に放散し、逆の現象として地球半径の縮小、大陸の地殻の浮上がおこる。地球半径の縮小の際の圧縮によって造山運動がおこり、熱の蓄積がまた始まる。このようにして、海進、海退、造山運動が周期的におこると述べている。
[木村敏雄]