一般にフォトメーターphotometerという語が使われるが,これは測光器という意味で必ずしも光度計を意味しない。分光光度計のほうはスペクトロフォトメーターspectrophotometerという。(1)光源の光度を測定する装置。光度は光源からある方向に放出される光の強度である。その測定は光度既知の標準電球といちいち比較して行うのが原則で,したがって光度計はその標準電球と受光器,これら両者の中間に置いて他方向からの迷光を遮断する有孔隔板,およびこれらすべてを1直線上に配置して相互の位置関係を調節するための測光ベンチなどからなる。受光器の分光感度(スペクトル感度)は標準比視感度,すなわち標準的な目の分光感度に比例したものでなければならない。初め標準電球と受光器の距離を適当に保って受光器の出力を読み,次に被測定光源を標準電球と同じ位置に置き換えて受光器の出力を読む。これら二つの読みの比から被測定光源の光度を求める。あるいは被測定光源と受光器の距離を適当に加減して,距離の逆2乗則,すなわち受光器の読みが距離の2乗に反比例するという法則を用いて計算してもよい。現在では受光器としては光電池や光電管に適当なフィルターをかけて分光感度を標準比視感度にほぼ比例するようにしたものを用い,肉眼を用いてのいわゆる視感測光はほとんど行われていない。(2)昔は光度という語が,厳密な定義なしに光または放射に関する量に対して漠然とした用い方をされていたことがあり,そのため現在でも例えば分光光度計などのように光度測定を目的としない装置を光度計と呼んでいることがある。分光光度計は単色放射,すなわちスペクトル成分が狭い波長領域だけに限られている放射に対する,物体(物質)の分光透過率または分光反射率をおもに測定する装置である。これはプリズムまたは回折格子などを用いて単色放射を取り出すモノクロメーター,受光器および試料を装着する部分などからなり,試料に入射する単色放射の放射束(単位時間当りの放射エネルギー)に対する,試料を透過しまたは試料から反射される放射束の比を測定するものであり,(1)の光度計とはまったく異なる。原理的には標準試料は不要であるが,分光反射率測定の場合には,酸化マグネシウムまたは硫酸バリウムなどの標準反射試料と比較して測定するのが実際的で,一般にはほとんどこの方法を用いている。しかし,標準試料の反射率は別途に特別な精密測定法で求めておく必要があり,また反射率の経時変化,表面状態や湿度による変化などを考慮する必要もある。現在では分光光度計は波長送り,受光器出力の測定・記録・計算など,ほとんど自動化されている。
→測光
執筆者:大場 信英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
狭義には光源の光度を測定する装置。広義には照度、輝度、透過率、濃度などを測定する装置。測光器ともいう。光度を測定するのに、しばらく前までは、光度が既知の標準光源および未知の光源から測定点までの距離を調節し、その位置で輝度が等しくなるのを人間の目を使って視覚判定し、距離の関係から未知光源の光度を求める方法が用いられた。しかしこの方法は客観性に欠けるので、現在はフィルターで波長感度を人間の目のそれとあわせた光電検出器を使用し、既知光源、未知光源からある程度離れた点での照度の測定から光度を求める方法が普通用いられる。光電検出器を用いる光度計を光電光度計という。光電光度計では適当な検出器を使用すると、可視域だけでなく紫外・赤外域での光のエネルギーなどの測定も行える。また分光器と組み合わせると、各波長についての光源のエネルギー分布や試料の透過率分布の測定も可能になる。
[田中俊一]
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