日本大百科全書(ニッポニカ) 「スジハナビラウオ」の意味・わかりやすい解説
スジハナビラウオ
すじはなびらうお / 筋花弁魚
freckled driftfish
[学] Psenes cyanophrys
硬骨魚綱スズキ目エボシダイ科に属する海水魚。千葉県以南の太平洋沿岸、石川県以南の日本海沿岸、朝鮮半島南岸、東シナ海、南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、台湾など太平洋、インド洋、大西洋の、熱帯から亜熱帯の海域に広く分布する。体高は幼魚、成魚ともに高くて卵円形で、柔らかく、強く側扁(そくへん)する。吻(ふん)は丸くて短く、吻長は眼径の2分の1よりも長い。上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下に達する。上下両顎に細かい歯が1列に並ぶ。鱗(うろこ)は円鱗(えんりん)ではがれやすい。目の上方から鰓蓋(さいがい)上部に達する無鱗域がない。頭部背面の鱗は両眼の前縁より前に達しない。側線は体の背縁と並行して走り、側線鱗数は60~63枚。第1背びれは9~11棘(きょく)、第2背びれは1棘23~28軟条、臀(しり)びれは2~3棘24~28軟条。胸びれは長く、臀びれの中央部上方に達する。体は黒褐色で、体側の各鱗には暗色の点や線があり、これらが体側の縦帯となる。幼魚では体は黄色で、鱗列に沿って多数の暗青色縦線がある。成魚は中底層にすむ。幼魚や若魚は流れ藻やクラゲ類の下について、カツオノエボシなどのクラゲ類を食べる。最大体長は25センチメートルになる。定置網や巻網などでときどきとれるが、まとまった漁獲がないために商品として出回らない。しかし、塩焼き、煮魚、干物などにするとおいしい。
[尼岡邦夫 2024年8月16日]