スズシロソウ(読み)すずしろそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スズシロソウ」の意味・わかりやすい解説

スズシロソウ
すずしろそう
[学] Arabis flagellosa Miq.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。茎は高さ10~30センチメートル、基部に長い走出枝を出し、葉とともに星状毛がある。根際の葉は倒卵形で長さ1.5~10センチメートル、基部は狭く、葉柄状となる。4~5月、総状花序を頂生し、やや大形で白色の4弁花を開く。角果はまばらにつき、線形で長さ2~3センチメートル、やや開出する。種子は広楕円(こうだえん)形で狭い翼があり、一列に並ぶ。山地の谷川付近や岩の上に多く生え、中部地方以西の本州から沖縄に分布する。名は、花がスズシロダイコン)に似ることによる。茎に走出枝を出さないタチスズシロソウは近畿地方以西の本州、四国の海岸砂地に生える。近似種とされたこともあったが、スズシロソウとは別属のシロイヌナズナ属Arabidopsisに分類されるミヤマハタザオ亜種である。

[小林純子 2020年11月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スズシロソウ」の意味・わかりやすい解説

スズシロソウ
Arabis flagellosa

アブラナ科の小型の多年草。西日本の温帯から暖温帯に分布し,山地の谷川付近の木陰に生える。茎の下部は長く地をはう枝を出し,節から根を生じる。上部は分枝せず葉とともに星状毛を密生する。根出葉はロゼットをつくり,ふぞろいなあらい鋸歯をもつ。春に,茎の先端部に総状花序をなして白色の十字花をつける。和名はスズシロすなわちダイコンに似ていることによる。

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世界大百科事典(旧版)内のスズシロソウの言及

【ハタザオ(旗竿)】より

…特に岩場に生えて小さくなったものが,フジハタザオと呼ばれることもある。スズシロソウA.flagellosa Miq.(イラスト)は山の斜面に生える多年草で,石灰岩地に多い。長い伏枝を伸ばして地表をはい,4~5月ころ,株の中央から10~15cmの花茎を出して,白い十字花をつける。…

※「スズシロソウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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