スタング(読み)すたんぐ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタング」の意味・わかりやすい解説

スタング(父子)
すたんぐ

(1)フレデリックFrederik Stang(1808―1884) ノルウェーの初代首相。1829年クリスティアニア大学(現、オスロ大学)法学講師、1837~1839年政府法官、1837~1845年クリスティアニア市議を経て、1845~1856年に入閣。1861年総督職につき、1873年総督職廃止後も国王カール15世Karl ⅩⅤ(1826―1872、在位1859~1872)の要請で首相を務めた。閣僚の議会出席決議に対し、国王に拒否権行使を三度勧告した。スベルドラップ対立したが、1880年議会の憲法修正決議後に退陣した。

(2)エミールEmil Stang(1834―1912) (1)の子。1862年弁護士、1877~1889年クリスティアニア市議、1883年ストルティングStorting(変則的一院制議会)議員となる。1884年に右翼党を結成し、議長に就任した。1889~1891年、1893~1895年左翼党穏健派の支持も得て、首相を務めた。スウェーデンとの領事問題では、1891年領事制度保持の下、外務大臣国籍については決定延期という妥協案に同意し、早急な分離を要求する純粋左翼党と対立を深めた。

[大島美穂 2022年5月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタング」の意味・わかりやすい解説

スタング
Stang, Frederik

[生]1808.3.4. ストッケ
[没]1884.6.8. ベストレバエルム
ノルウェーの政治家。スウェーデン王 (ノルウェー王を兼ねる) の任命するノルウェー行政府の閣僚を長くつとめ (1845~56) ,スウェーデンから提案された合同議会 (スウェーデン人議員がノルウェー人議員の2倍の構成) 案をノルウェー政府が拒否した際の妥協派の長。硬派閣僚辞任のあと議長となる (60) 。総督制廃止とともに初代首相 (73~80) として自国の完全独立を目指す革新派に対抗し続けた。

スタング
Stang, Emil

[生]1834
[没]1912
ノルウェーの政治家。 F.スタングの子。父を中心とする官僚的な保守派 (スウェーデンの代弁者) に代って,上層ブルジョアジーを基礎に近代的な保守党組織,2度にわたって首相に指名された (1889~91,93~95) 。ノルウェーのスウェーデンからの独立前夜,一貫して完全独立に背を向け,国王との妥協に終始した。

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