翻訳|stapler
一般にホッチキスといわれる紙綴じ器の総称。機関銃の発明者,アメリカのB.ホッチキスが,弾丸送り装置にヒントを得て考案したとされる。用途としては事務用のほか,食品類の包装,果樹園における果実の袋がけ,肥料の袋綴じなど,作業用にも広範囲に使用されている。JIS規格では使用する綴じ針によって分類されるが,携帯用の10号は新聞紙12枚以上,中型の3号は24枚以上綴じられることが条件。そのほか厚紙・多数ページ用の1号と奥行きの広いプライヤー式がある。日本に渡来したのは,1909年のことで,まだ見本程度であったが,14-15年ころから商品として大量に輸入されるようになった。当時のものはむかで式と呼ばれ,綴じ針の背の部分がはんだ合金(現在は接着剤)でつながれており,そこをたたき切って綴じる方式であった。18年ころから国産化され,28年には中型,52年には携帯用が作られた。61年ころから急速に普及し,78年には生産台数1億台を突破した。東南アジアなどにも大量に輸出されている。なお,ステープラーと類似したものにタッカーがある。これは紙,ベニヤ板,布地,メタルラスなどを止めつける機械で,大型のものは建築用,木工用に,小型のものは家具のシート張り,ポスター張りなどに使用されている。紙を傷つけずに綴じ針を除くリムーバー(除針器)は,ステープラーの補助的機能を持つ。
執筆者:角田 暁子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
コの字型の金属針を用いて自動的に紙などを綴(と)じる器具。機関銃の発明者ベンジャミン・ホッチキス(1825―85)の考案によるところから、一般にホッチキスとよばれている。わが国には1909年(明治42)に初めてアメリカから渡来し、大正初期から大量に輸入されるようになった。当時は「むかで式」とよばれていたが、国産では1918年(大正7)につくられたものが最初である。用途と針の大きさにより各種あるが、大きく分けて1号(厚紙用の大型タイプ)、3号(中型で針も細く、体裁よく綴じられる一般的なタイプ)、10号(現在もっとも普及している片手操作の小型携帯用)、そのほか電動式、ワイヤー式があり、JIS(ジス)規格が3号と10号に適用されている。最近では綴じ具としてだけでなく、包装用止め具としても利用されている。
[野沢松男]
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