日本工業規格のこと。工業標準化法に基づいて定められた製品の仕様や品質管理の体制に関する標準的な規格に当たる。国に登録された機関が審査し、認められればJISマークを表示できる。製品の信頼感を高め、品質向上を後押しする役割がある。製品試験と品質管理体制の審査があり、不適合の場合、認証機関により認証を取り消されるなどの処分がある。
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日本産業規格の略称。一般に「ジス」とよばれる。産業標準化法(昭和24年法律第185号)に基づいて、鉱工業の生産、流通、消費にわたって技術的な事柄の統一、標準化を図るために定められた、鉱工業製品、データ、サービス、経営管理などの産業標準をいう。国家規格である。
1921年(大正10)工業品規格統一調査会が設けられて工業製品の規格を定めることが図られ、1933年(昭和8)日本標準規格Japanese Engineering Standardsが定められた。これはJES(ジェス)とよばれ、第二次世界大戦前には約2000規格が決められた。戦後の1949年(昭和24)に工業標準化法が制定され、これに基づいて日本工業規格としてJISが定められ、JESはすべてJISに改められた。その後、2019年(令和1)の工業標準化法の改正により法律名が産業標準化法となり、これに伴い規格名も現在の日本産業規格となった(英語名称・略称は継続)。
JISは、生産、消費の合理化を図り、生産、技術の向上を促進し、品質の改善を図ることを目的としており、経済産業省に設置されている日本産業標準調査会Japanese Industrial Standards Committee(略称、JISC)が産業標準化に関する調査・審議などを行っている。JISは、技術用語、記号、数値をはじめ、製品の種類、形状、品質、性能などのほか、完成品の試験方法、分析、検査、測定方法、さらに設計、製造、使用、包装など広範囲にわたり、2023年3月末時点の規格数は1万0944である。規格に適合したものには、JISマークをつけることができ(JISマーク表示制度)、制定または改正されたすべてのJISは少なくとも5年以内に見直される。
JISは1980年に工業標準化法が改正されて以降、外国企業にも適用されている。また2004年(平成16)の法改正では、JISマーク表示制度の抜本的な改正が行われ、JISマークのデザインも変更された。2019年の法改正では法律名が産業標準化法に変更され、JISの標準化の対象へのデータ、サービス、経営管理などの追加、JIS制定の迅速化、JISマーク信頼性確保のための罰則強化、国際標準化の促進などの内容が加わった。
[中山秀太郎・編集部 2024年4月17日]
日本工業規格Japanese Industrial Standardの略称。1949年に制定・施行の工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会(略称JISC)の審議を経て,通商産業大臣,運輸大臣,厚生大臣など主務大臣が定める国家規格をいう。JISの前身に,日本標準規格(JES,1921-41),臨時日本標準規格(臨JES,1939-45),日本航空機規格(航格,1941-45),日本規格(新JES,第2次大戦後の一時)があった。JISの目的は,鉱工業品(医薬品,農薬,化学肥料,農林物資を除く)および構造物の品質の改善,生産能率の向上その他生産の合理化,取引の単純公正化,使用・消費の合理化,公共の福祉の増進を図ることにある。JISで規定する事項は,(1)鉱工業品の種類(形式を含む),等級,形状,寸法,構造,性質(信頼性,安全性を含む),性能,装備,(2)鉱工業品の設計方法,製図方法,生産方法(原単位,作業安全条件を含む),品質管理方法,試験方法,検査方法,鑑定方法,包装方法,使用方法(取扱注意事項を含む),(3)鉱工業品の製造・使用の環境条件の測定,試験,検証の方法,(4)鉱工業の技術に関する用語,記号,単位,標準数,資格検定方法,(5)建築物その他の構造物の設計・施工の方法,安全条件など,きわめて多岐にわたっている。84年3月末で,JISの総数は約7900である。工業標準化法に基づいて,いわゆるJISマーク表示制度と呼ぶ認証制度が実施されているが,これは主務大臣が指定する商品および加工技術について,製造業者,加工業者が主務大臣の許可を受けて,JISに適合していることを示すJISマークを,製品や加工品,またはその包装などに付けて供給できるという制度で,表示許可申請者は,自分の工場の品質管理方法その他の技術的条件について,政府職員による詳しい審査を受ける。許可後は立入検査があるし,許可業者には報告の義務も課せられている。84年3月末で,表示許可件数は1万5813である。なお,80年の工業標準化法の改正によって,この制度は外国企業にも開放された。
執筆者:東 秀彦
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…48年商工省の外局として12の試験研究機関を集めて工業技術庁が設置され,民間の研究助成を含め所掌の技術行政を進めることとした。また49年には工業標準化法を制定してJIS(ジス)(日本工業規格)を決定し,生産・消費の合理化を図った。一方,科学技術行政を総合的に推進する行政機関を設置しようとする動きが国会,産業界を通じて高まって,原子力開発発足と相まって,関係機関を統合して科学技術庁の新設(1956)となった。…
…そのため,試験方法の規格を決めることが再三試みられたが成功しないで,やっと1905年2月に農商務省からセメント試験方法の規格が公布になった。これが,現在の日本工業規格(JIS)への発展の礎となった。自動車の製造規格の統一による量産方式の採用は,1894年の西ドイツのベンツ社のベロ号が最初といわれているが,アメリカのフォード社は一元的な製造規格および流れ作業生産方式を1908年開発のフォードT型に適用して,10年未満で価格を850ドルから360ドルに低減することに成功している。…
…日本でも1921年に官制による工業品規格統一調査会が設置され,日本標準規格(JES)が実施されたことに始まり,第2次大戦終了までは,主として軍需品との関係で臨時日本標準規格や日本航空機規格などの規格化が実施された。 戦後,本法により従来のJESを日本工業規格(JIS(ジス))にかえ,またその範囲を拡大した。標準化にはその設定時期や方法等に関し各種の利害が複雑にからむため,法は大臣の諮問および調査の機関として委員240人以内で組織される日本工業標準調査会を置き,さらに必要あるときは利害関係人の意見を公聴会等で聞くなどの制度を設けている。…
※「JIS」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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