音声波形の情報を時間・周波数・強度の三次元表示したもの。横軸が時間、縦軸が周波数、白黒の濃淡パターンで強度を表す。音声だけでなくその信号を構成する周波数成分の分析、あるいはその成分の時間的変化が主要な特徴であるような信号の解析に広く使われる。
ソナグラムをつくる装置をソナグラフsonagraph(アメリカ、ケイKay社の商品名)という。分析すべき信号を一定時間記録し、それを繰り返し再生しながら周波数分析する。分析出力は放電記録紙上に出力の大小に応じた濃淡模様として記録される。1940年アメリカのベル電話研究所で開発された。ソナグラム上で、音声のホルマントformant(主要周波数成分)は黒い横縞(じま)となって表れ、その時間的かわり方が音声の音韻的内容に応じて特徴的なパターンを示すことから、ビジブルスピーチvisible speech(音声の視覚的表現)とよばれ、広く研究に利用されてきた。またこの濃淡表示を、地図の等高線表示のように等強度線表示したものは声紋voice printとよばれ、話者の確認に、指紋に匹敵するほど有効な手段であるとして話題になった。ソナグラムは正常な話者の音声の音韻的特徴の研究のみでなく、発声の異状の発見、診断や聾唖(ろうあ)者の話し方の訓練用にも利用されている。
[中田和男]
…第2次世界大戦中に開発された音響分析器械で,発話における言語音声(音声学)のように,短い時間に次々にその構成要素が変わっていく音を分析するのには便利な装置である。正式には音声スペクトログラフsound spectrograph,また通称単にスペクトログラフとも称し,これによって得られる図形をスペクトログラムspectrogramというが,しばしばその商品名であるソナグラフの名で呼ばれ,その図示をソナグラムsonagramという。 図1は母音[a]のソナグラムを示している。…
※「ソナグラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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