ソロモンの知恵(読み)ソロモンのちえ(その他表記)Wisdom of Solomon

改訂新版 世界大百科事典 「ソロモンの知恵」の意味・わかりやすい解説

ソロモンの知恵 (ソロモンのちえ)
Wisdom of Solomon

旧約聖書外典中の一書。エジプトアレクサンドリアユダヤ人と推測される著者が前1世紀ころ,同胞先祖伝来信仰を勧め,異教的文化に対するユダヤ教の優位を説くために,ギリシア語で書いたもの。著者はギリシア文化に通じ,聖書的な知恵ストア哲学などのヘレニズム思想によって補いつつ展開する。霊魂不滅思想や二元論が明瞭に認められるなど,イスラエル知恵文学伝統の中でも重要な位置を占めている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソロモンの知恵」の意味・わかりやすい解説

ソロモンの知恵
ソロモンのちえ
Wisdom of Solomon; Book of Wisdom

旧約聖書外典の一つ。『ヨブ記』『箴言』『伝道の書』とともに,いわゆる「知恵文学」を形成。 19章から成り,内容から2つないしは3つの部分に分けられる。一般的には,1~5章が義人悪人の運命を取扱う終末の書。6~9章が神の知恵についてとその賛歌。 10~19章はイスラエルの歴史における神の知恵の回顧と偶像礼拝の禁止などがその内容。全体として黙示文学的要素が強い。伝承的にはソロモンの作とされるが,実際には前1世紀頃ギリシア哲学の影響を受けたディアスポラのユダヤ人の一人が書いたと思われる。ユダヤ教,プロテスタントは正典とは認めず,外典の一つに数えるが,カトリックトリエント公会議 (1545~63) で,そのウルガタ訳を知書の名で正典と宣言した。

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とっさの日本語便利帳 「ソロモンの知恵」の解説

ソロモンの知恵

紀元前一〇世紀のイスラエル王ソロモンは、巨人ゴリアテを倒したダビデの子で、賢人として知られ、その知恵を試みるために訪問したシバの女王を感嘆させた。

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世界大百科事典(旧版)内のソロモンの知恵の言及

【知恵文学】より

…旧約聖書の《箴言》《ヨブ記》《伝道の書》,外典に属する《ベン・シラの知恵》《ソロモンの知恵》等を,歴史書,預言文学と区別して〈知恵文学〉と総称する。これらの知恵文学には,特にイスラエル的な信仰を特徴づける主題である排他的な唯一神の信仰,歴史の中に神の行為を実現する救済史観,イスラエルの選び,啓示,契約などが見られない。…

※「ソロモンの知恵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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