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知恵文学 ちえぶんがくWisdom Literature

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

知恵文学
ちえぶんがく
Wisdom Literature

「知恵」の起源は古く,知恵文学呼ばれるものはエジプトはじめ古代東方諸国にも存したが,特に旧約聖書中「諸書」に含まれるものが代表的である。イスラエルの「知恵文学」の形成はバビロン捕囚後のおよそ前4世紀から前1世紀の末頃の間である。さまざまの思想の影響が散見され,方法や形式も多様で,主題の統一性も聖書中のほかの書に比して弱いが,「主を恐れることは知恵の始めである」 (箴言1・7ほか) との基本的な立場から神の前に人間として守るべきさまざまの教えが説かれている。旧約における知恵文学としては『ヨブ記』『箴言』『伝道の書』『詩篇』 (37,49,73の各編) ,『ベン・シラの知恵』 (外典) ,『ソロモンの知恵』 (外典) があげられる。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

ちえぶんがく【知恵文学 Wisdom literature】

旧約聖書の《箴言》《ヨブ記》《伝道の書》,外典に属する《ベン・シラの知恵》《ソロモンの知恵》等を,歴史書,預言文学と区別して〈知恵文学〉と総称する。これらの知恵文学には,特にイスラエル的な信仰を特徴づける主題である排他的な唯一神の信仰,歴史の中に神の行為を実現する救済史観,イスラエルの選び,啓示,契約などが見られない。その関心はイスラエル民族よりも人間一般,救済観よりも創造観にある。これらの特徴は,メソポタミア,エジプト等の古代近東の知恵文学と内容・形式ともに共通し,その思想の背後には,エジプトのマアト信仰に見られるような世界を支配する神的宇宙的秩序への信仰がある。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

ちえぶんがく【知恵文学】

古代オリエントで、人間一般や宇宙の秩序について教える格言や寓話などの総称。旧約聖書では歴史書(「創世記」「出エジプト記」ほか)や預言書(「イザヤ書」「エレミヤ書」ほか)などに対して、「ヨブ記」「箴言」「伝道の書」などの文書をいう。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

知恵文学
ちえぶんがく
wisdom literature

古代オリエントにおいては、古くから、謎(なぞ)かけや諺(ことわざ)、格言や教訓詩、寓話(ぐうわ)や物語、対話や論争などのさまざまな文学形式を用いて、人生や社会の諸問題に解答を与え、かつまた宇宙や世界の秩序を教えようとする文学が数多く記され、伝えられた。これらを総称して知恵文学とよぶ。たとえば、「……(人名)の教訓」と題される数々のエジプト文学、義人の苦難の問題を扱うバビロニアの神義論、アラム語の「賢者アヒカルのことば」等々。
 古代イスラエル人の残した『旧約聖書』にも、随所に知恵文学的要素が認められる。なかでも「箴言(しんげん)」「ヨブ記」「伝道の書」、さらに『旧約聖書』外典の「ソロモンの知恵」「ベン・シラの知恵」などは、一括して知恵文学とよばれる。これらの『旧約聖書』の知恵文学はそれぞれ個性的ではあるが、神によって創造された世界の秩序への人間のかかわり、すなわち世界内存在としての人間の問題が、創造の神への信頼という宗教的問題と絡み合って、主題化されている点で共通する。[月本昭男]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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