改訂新版 世界大百科事典 「タカチホヘビ」の意味・わかりやすい解説
タカチホヘビ
Achalinus spinalis
夜行性であまり人目に触れないナミヘビ科の小型ヘビ。全長25~53cm。本州,四国,九州および中国東部に分布。和名は1888年高千穂宣麿が発見したのに由来する。頭部は細長くて眼が小さく,歯の数が少ない。体鱗は滑らかで光沢があり,褐色または暗褐色の背面に1条の細い黒条が正中線上を走るが,ほかに斑紋はなく,腹面は黄色。小型のおとなしいヘビで,丘陵地から山地の森林にすむ。夜行性で,昼間は倒木やがれ場の石の下などに潜み,かなりの個体が生息する地域でも,ほとんど人目に触れることがない。軟らかい地中や落葉の下に潜ることが多く,餌はおもにミミズ類。乾燥に弱く飼育はむずかしい。細長い小さな卵を2~4個産むが,産卵習性などはよくわかっていない。奄美大島,沖縄本島には尾の長いアマミタカチホA.werneriが分布し,最近,八重山列島産は台湾産の亜種ヤエヤマタカチホA.formosanus chigiraiとされている。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報