改訂新版 世界大百科事典 「タクトシステム」の意味・わかりやすい解説
タクトシステム
tact system
流れ作業システムの一形態であって,一連の作業工程系列を構成するそれぞれの工程をあるタクト(拍節)のもとに同時に進行させる生産作業方式をいう。すなわち,あるタクト時間内にどの工程も与えられた作業を完了し,それぞれ同時に次工程へ進む。次工程への進行方法には大別して2通りあり,その一つは各工程の作業者班が静止したままで加工対象を次工程へ移動させる方法であり,他の一つは各工程の加工対象を静止したままで作業者班をそれぞれ次工程へ移動させる方法である。いずれの場合においても,各作業者班は定められたそれぞれの作業工程内容を遂行するよう専門化されている。一般にタクトシステムは,比較的大物の加工対象の組立作業(例えば,最初のころの適用例としては航空機の組立作業)に適用される。各工程を自動化し,加工対象をある一定のタクトで次工程へ移動させる方法として,トランスファーラインがある。
→流れ作業
執筆者:新宮 哲郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報