タコノマクラ
Clypeaster japonicus
ウニ綱タコノマクラ科の棘皮(きよくひ)動物。本州中部より四国,九州に分布し,外海に面した水深数mのれき地帯に生息する。体は丸みのある長五角形で,長さ12cm,幅10cm,高さ3cmほど。殻は厚く,全面が褐色の短い棘で覆われている。棘には長さ1.5~2.5mmの大棘(だいきよく)のほかに,辺縁がのこぎりの歯のようになった小棘,それに叉棘も多く見られる。上面には歩帯が並んでできた花紋が5個あり,そのうち前方に向かっている花紋の先端は開いている。下面はほぼ扁平で中央には深くくぼんだ口があり,それより5本の食溝が放射状にのびているが,ほぼ中間で終わっている。産卵期は7~8月。発生の実験によく使われる。個体を日光にさらすと特有な色素をだして緑色にかわる。
執筆者:今島 実
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タコノマクラ
たこのまくら / 蛸の枕
[学] Clypeaster japonicus
棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱タコノマクラ科に属する海産動物。分厚い盾のような形をしたウニの仲間で、体表は細かい棘(とげ)で一面に覆われ、上面には5枚の花びら模様が、焼き印を押したようにくっきりとしるされている。長径10センチメートル余り、厚さ3センチメートル、棘長1ミリメートル未満。全体に茶褐色で花紋部分は黒褐色。傷つくと濃緑色を呈する。浅海の砂礫(されき)底に産し、エビ刺網にかかってくることが多い。体の上に小石やごみをのせてカムフラージュする習性がある。産卵期は7~8月。発生学の研究材料として利用される。本州中部から九州まで分布する。
[重井陸夫]
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タコノマクラ
Clypeaster japonicus
棘皮動物門ウニ綱タコノマクラ目タコノマクラ科。殻は長径 12cm,短径 9.5cm,高さ 3.5cmの長楕円形で,厚質堅固である。背面に殻の4分の3ぐらいを占める花紋 (歩帯) が5個あるが,前方に向ったもののみ花紋の先端が開き,他は閉じている。殻の全面は細く短いとげでおおわれ褐色であるが,日光に長時間さらされると緑色を帯びる。本州中部以南,四国,九州の外海に面した礫地帯に分布する。
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「タコノマクラ」の意味・わかりやすい解説
タコノマクラ
棘皮(きょくひ)動物タコノマクラ科のウニ。殻は強固で長さ12cm,幅10cm,高さ3cmくらい。褐色の短いとげが全面にあり,殻頂に歩帯からなる五つの花弁状の紋がある。腹面中央の口から放射溝が5本出る。肛門は背面中央にある。本州中部〜九州の外海に面した浅海の岩礫(れき)底にすむ。
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世界大百科事典(旧版)内のタコノマクラの言及
【ウニ(海胆)】より
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[形態と機能]
ウニ類は正形類と不正形類とに大別される。正形類は[バフンウニ](イラスト)や[ムラサキウニ](イラスト)などのように半球状の殻をもち,不正形類は[ブンブクチャガマ](イラスト)や[タコノマクラ](イラスト)の殻のように心臓形や扁平な楕円形をしている。(1)外部形態 体は多くの石灰質の骨板が互いに密着して規則正しく配列した殻に包まれる。…
※「タコノマクラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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