タヌキモ(読み)たぬきも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タヌキモ」の意味・わかりやすい解説

タヌキモ
たぬきも / 狸藻
[学] Utricularia × japonica Makino
Utricularia vulgaris L. var. japonica (Makino) Tamura

タヌキモ科(APG分類:タヌキモ科)の多年草。イヌタヌキモとオオタヌキモの雑種。根はなくて池沼に浮遊し、球形越冬芽をつくり、水底に沈んで冬を越す。葉は密に互生して左右に広がり、平面上に3~4回羽状に細裂する。多数の捕虫嚢(のう)をつけ、水中の微小な動物をとらえて消化吸収する。花茎は高さ10~25センチメートル、広卵形鱗片葉(りんぺんよう)をつける。7~9月、距(きょ)のある黄色花を開く。果実は成熟しない。本州と九州に分布する。名は、茎の先の葉が房状に密集している形をタヌキの尾に見立て、水中に生えることによる。

 タヌキモ属は、花は多くが総状につき、萼(がく)は2裂する。世界に約250種ある。日本には13種の記録がある。

[高橋秀男 2021年10月20日]

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