たばこ増税(読み)たばこぞうぜい

知恵蔵 「たばこ増税」の解説

たばこ増税

2018年10月1日から、たばこ税税率が約8年ぶりに引き上げられた。たばこ税は増税前に紙巻きたばこが1本当たり約12.2円だったが、今回1円引き上げられた後、20年と21年の10月にも1円ずつ引き上げられ、4年間で合計3円の増税となる。また、これまでパイプたばこに分類されていた加熱式たばこは課税方式が見直され、新たに加熱用たばこの区分が設けられた。
今回の増税に伴い、20本入りのたばこ1箱は大半が30円以上値上げされ、セブンスターなどの主要銘柄は500円の大台に乗ったものも多い。こうした中で、増税前の価格に近付けようと1箱の本数を減らす動きも見られる。
たばこ税は、10年度に「財源確保」から「健康増進」へと目的が転換され、1本当たり3円と大幅な税率引き上げが行われた。18年7月には改正健康増進法が成立し、多くの人が使う施設を原則禁煙とするなど、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策も強化された。厚生労働省によれば、19年の成人男性の喫煙率は29.4%と初めて3割を切り、女性7.2%、全体で17.7%も調査開始の1986年以降で最低との水準となった。喫煙が健康や社会に及ぼす悪影響を減らそうと、世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組条約」では、締約国に対して喫煙率の低下に向けた価格・課税政策を求めており、日本でも欧米並みのたばこ価格に近付いてきた。

(原田英美  ライター /2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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