改訂新版 世界大百科事典 「タフト=ハートリー法」の意味・わかりやすい解説
タフト=ハートリー法 (タフトハートリーほう)
Taft-Hartley Act
1947年に成立したアメリカの労働立法。正式には1947年労使関係法Labor-Management Relations Act。通称は提案者R.A.タフトとF.A.ハートリーに由来する。タフト=ハートリー法は,1935年のワグナー法を修正して,雇主と組合との責任を平等化しようとした法律である。第2次大戦後頻発したストライキが同法成立の契機となり,トルーマン大統領の拒否にもかかわらず,それを乗り越えて成立した。ワグナー法にもとづく労働者の権利は保持されたが,新しく労働団体による不当労働行為が詳細に規定された。
そのほかクローズドショップの禁止,ストライキ前60日間の冷却期間の設置,組合の政治献金禁止,組合への損害賠償訴訟,連邦政府従業員のストライキ禁止などが定められ,国民の健康と安全を危うくすると判断される争議については,国家緊急事態という範疇を設けて特別の手続を制定している。全国労働関係委員会も再組織され,委員は3名から5名に増員されたが,委員会の権限は縮小された。
執筆者:榊原 胖夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報