改訂新版 世界大百科事典 「組合役員」の意味・わかりやすい解説
組合役員 (くみあいやくいん)
労働組合運動の指導的立場にあって,組合業務の執行について協議,決定を行い,それを実行する者をいう。日本では通常,執行委員長,副執行委員長,書記長,執行委員および会計監査を指す。会計監査を除く組合役員は執行委員会を構成し,執行委員長,副執行委員長,書記長は組合三役と呼ばれる。執行委員長は,対外的には組合代表者として,組合内では執行委員会の最高責任者として組合活動全体を統轄する。書記長は,執行委員会の日常業務を執行する書記局を統轄し,その業務の指導,監督を行う。執行委員は,執行委員会の構成員として組合業務の執行について協議,決定を行うとともに,書記局の下におかれる調査部,組織部,教宣部,財政部などの専門部で組合業務を分担処理する。会計監査は組合会計の監査を行う。組合役員は通常,全員が組合定期大会で全組合員または代議員の直接無記名投票によって選出される。企業別組合などの単位組合の役員は,当該企業あるいは事業体の従業員から選出され,従業員籍を保持したまま組合業務を行うのが普通であり,そのうち組合業務に専念する者を在籍専従役員と呼ぶ。ナショナル・センター,産業別組合の場合には,書記局から選出される職業的組合役員も一部存在するが,その多くは各構成組合から選出される在籍専従役員である。このように在籍専従の比重がどのレベルでも著しく高いのが日本の特徴である。
→組合専従者
執筆者:中村 圭介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報