日本大百科全書(ニッポニカ) 「タブマン」の意味・わかりやすい解説
タブマン
たぶまん
Harriet Tubman
(1821ころ―1913)
アメリカの黒人女性。メリーランド州の農園で奴隷の身に生まれる。1849年に北部への逃亡に成功したのち、「地下鉄道」組織の「車掌」として黒人同胞の解放のため活躍した。50年以降、奴隷制南部へ19回往復し、300人以上の奴隷を北部へ救出した。4万ドルの賞金が逮捕のために出されたが、ときには男装をして追っ手をくらまし、1人の「乗客」も「軌道」から落ちこぼさなかったという記録をつくり「名車掌」とか「黒人の女モーゼ」とよばれた。南北戦争中は北軍に従軍し、看護や情報係の任につき、63年のポート・ロイヤルの作戦などに参画して多数の奴隷を解放し、その功績は管区司令官サクストン将軍の認めるところとなった。1913年3月10日ニューヨーク州オーバンで死去。
[古川博巳]
『E・コンラド著、貫名美隆編・注『英文・奴隷解放の闘士タブマンの生涯』(1964・英宝社)』▽『H・スウィフト著、三谷貞一郎訳『自由への地下鉄道』(『新装版 世界新少年少女文学選9』1980・新日本出版社)』