緞帳
どんちょう
劇場用語。額縁舞台と観客席との間をくぎる幕の一種で、上下に動かして開閉するもの。西欧では、ほとんどが緞帳式であるが、歌舞伎(かぶき)劇場では原則的には引幕(ひきまく)を用いて左右に開閉する。近年は歌舞伎の劇場にも緞帳があり、新作物、舞踊劇など、上演作品によっては、これを用いることがある。江戸時代の小芝居は引幕を許されず、粗末な緞帳を使っていたことから、「緞帳芝居」という言い方も行われた。
[服部幸雄]
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どん‐ちょう ‥チャウ【緞帳】
〘名〙
①
厚地の織物による壁代
(かべしろ)の一種。内外の仕切りと装飾を兼ねて張りめぐらし、ときには幕の代用ともした。また、
芝居などの
垂れ幕。
引き幕に対する。
※俳諧・類船集(1676)知「翠簾も蚊屋も曇帳(ドンちょう)も風の音にやすらかならず」
※細君(1889)〈
坪内逍遙〉一「芝居といってもタカが鈍帳
(ドンチャウ)位ゐだアネ」
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緞帳【どんちょう】
劇場の幕の一つ。引幕の対。舞台天井からつるし,上下開閉する機構。歌舞伎のいわゆる小芝居(宮地芝居,端芝居)は引幕の使用が許されなかったため,緞帳(芝居)と蔑称(べっしょう)された。今日では企業の宣伝を兼ねて華美な緞帳が一般化。
→関連項目幕
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どん‐ちょう〔‐チヤウ〕【×緞帳】
1 厚地の織物でつくった模様入りの布。帳などに用いる。
2 劇場の舞台と観客席とを仕切る垂れ幕。厚地に絵や刺繍などを施した幕で、上下に開閉する。緞帳幕。
3 「緞帳芝居」「緞帳役者」の略。
[類語]黒幕・揚げ幕・引き幕・定式幕
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