日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダッカ」の意味・わかりやすい解説
ダッカ
だっか
Dhaka
バングラデシュの首都。同国中部、ガンジス川支流のブリ・ガンガ川沿岸に位置する。人口894万2300、大都市圏人口1035万6500(2003推計)。16世紀ごろから栄え、ムガル帝国時代から、東ベンガル地方の政治・経済の中心地であった。インド・パキスタンの分離後、パキスタンの東パキスタン州の州都となり、1971年バングラデシュの独立によって首都となった。市街は旧市街と新市街とに分かれ、旧市街は建物が密集して商業センターとして機能していたが、独立戦争時に大部分が破壊された。新市街北部には独立後建設された新しい行政区があり、国会議事堂を中心に政府庁舎、官舎などが整然と並んでいる。旧市街との境には、モテジールとよばれるオフィス街が広がり、この国最大のモスク、バイタル・モカラムが建っている。新市街は北方に発展しており、グルシャン・バナーニなどの住宅街が急速に拡大している。ムガル帝国時代には、世界屈指の上質な綿織物であるダッカ・モスリンの製造が盛んであったが現在は衰退している。市の東方には、テージュガオンの工業地帯があり、金属、機械、印刷、食品加工などの工場がある。中心部には1920年に設立されたこの国最大のダッカ大学やラムナ公園がある。旧市街には、ムガル帝国時代のラール・バーグ砦(とりで)、タイル張りのスター・モスクなどの遺跡がある。市内の主要交通手段は、リキショとよばれる人力車で、市内全体で5万台が稼動。最近では自動車の交通量が増えてリキショは減りつつある。
[桐生 稔]