日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダミア」の意味・わかりやすい解説
ダミア
だみあ
Damia
(1892―1978)
フランスのシャンソン歌手。本名マリー・ルイズ・ダミアンMarie-Louise Damien。パリの下町生まれ。家計のため働きに出るが、シャトレ座で端役(はやく)にありついたり辛酸をなめ、1910年ごろミュージック・ホールの役者ロベルティに仕込まれ、ゲーテ・モンパルナス劇場で歌手としてデビュー。第一次世界大戦中は兵士の慰問に赴き、戦後『イーゼルの夜哨(やしょう)』を歌い反響をよんだ。劇作家・俳優のサッシャ・ギトリにみいだされてしだいに名をあげ、黒いビロードのドレスによる演劇的表現というスタイルがつくられた。第二次大戦前のシャントゥーズ・レアリストの代表者で、低い声で失望や絶望をリアルに歌い上げ、『暗い日曜日』『人の気も知らないで』は日本でも大ヒットした。その他の代表作に『かもめ』『狂人』など。53年(昭和28)5月来日、56年に引退。
[永田文夫]